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9192631770×3600 Tooru Anno Exhibition


91926317770×3600 安野 亨 作品展

2019年11月2日(土)〜10日(日) 金曜日休廊

OPEN 11:00〜19:00

開催場所:加藤家住宅(旧中彦蝋燭店)

     名古屋市西区幅下1丁目10-1

関連イベント

アーティストトーク:11月2日(土)17:00〜

 入場無料 / 予約不要(20名先着順)

 出演 :安野 亨、東地雄一郎

倉知 可英パフォーマンス:11月3日(日)17:00〜

 入場無料 / 予約不要(20名先着順)

私は写真という手法を使って捉えたビジョンと頭の中にあるイメージの不安定部分に道筋をつける作業を繰り返してきた。私にとってはそれが作品を作るということなのである。具体的には被写体を長時間露光することで出来るだけ多くの情報を集め、その被写体の持つ近似値のようなものを捉えようと考えている。これはその被写体に出来るだけ近ずく為であり、そうする事で被写体の持つ何かしらの本質が見えてくるはずである。

ここ加藤家は旧街道である美濃路沿いに建つ連子格子の旧家であり、今では数少ない当時の面影が残る建物である。同家は慶応2年(1866年)から戦前まで中彦蝋燭店として和蝋燭を商っていたようでその頃使用していた看板なども現存している。今回はこの空間のもつ歴史や時間といったものを意識した作品展示を行った。またここで商われていた和蝋燭を作品のキーワードとした。

和蝋燭の炎は美しい。真っ直ぐ、長く、スッと立つその姿は凛々しい。私はその姿を見たとき私の手法でそれを撮影したくなった。固体としての蝋は火を点けられることで液体となり、さらに気化して炎となる。炎は空気というある意味不安定な支持体(メディウム)の上で自由を手に入れる。そしてその熱が周りの蝋をまた溶かし液体にしていく。この繰り返しが蝋燭が燃える一連の過程である。私は和蝋燭に火を点けた瞬間から燃え尽きて炎が消えるまでの時間を捉えることで、今目の前にある和蝋燭の炎の中にある絶対的な炎の様なもの、根源的な核となる様なものを定着させることを試みた。それは炎が持つエネルギーとも言える。

写真を撮るという行為に留まらず、作品を作るという事は私と対象との関係性であり、それは私という存在そのものであると思っている。大事なのは対象と共有した時間であり、その時間における対象と私の繋がりや立ち位置だと考えている。

また蝋燭は古くは時間経過の計測器、つまり時計として用いられた。私が今回使用した和蝋燭の燃焼時間は約60分であった。その60分という時間の単位も今回の作品のキーワードの一つとしたいと思う。

*タイトルについて

時間の最小単位である1秒の定義は、セシウム133原子(Cs133)の持つ電子がスピンの向きを変えた時に放出する電磁波が91億9263万1770回振動する時間である。

したがって、60分の振動数は9192631770×360となる。

​T.A.P.P
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